にんにくが魔除けに使われる理由
にんにくが魔除けに使われる理由
スタミナ食材や精力アップにも役立つ「にんにく」ですが、世界中で魔除けとして使われているのをご存じですか?
にんにくは独特の強烈な臭いを発するため、吸血鬼ドラキュラさえも怖がって逃げるという言い伝えあるほど。にんにくが世界中で魔除けとして使われている理由は、強烈な臭いと抗菌作用が非常に高いからという説が有力?です。
昔は病気は悪魔の仕業だと考えていたので、病気を予防してくれるにんにくで撃退しよう!というわけです。
そこで今回は、世界中でにんにくが魔除けになる理由や由来について見ていこうと思います。
にんにくが魔除けに使われる理由
現代は、にんにくが血液をサラサラしてくれたり生活習慣病、がん予防に役立つことが知られています。美肌にも効果があり、体内の活性酸素を除去して抗酸化作用が働き、シミやくすみ予防にも効果的だとわかっています。
このようなにんにくの強力な殺菌効果や抗酸化作用は、研究によって明確に判明していますが、古代人はにんにくの成分まではわからなかったはずです。
しかし、紀元前1500年前の文献にはにんにくを薬として使っていた記録が残っており、古代人はにんにくの効果について感じ取っていたことが分かります。古代ローマ時代には、にんにくは咳止めや寄生虫駆除の治療薬として使われていることが分かっているのです。
にんにくが魔除けとして使われた背景には、病気や霊からカルマを追い払う役割があったと考えられます。
実際に、にんにくには病原性大腸菌などの感染症を予防したり改善する効果がありますが古代人はその効果を身を持って実感していたのです。
にんにくには病気を改善したり予防したりする効果があることから、病気を引き起こす悪魔をにんにくで撃退していました。
ちなみに、仏教で食べることを禁じているもののなかに「五薫(ごくん)」があり、ネギ、ニンニク、ニラ、らっきょう、玉ねぎという臭いの強い5種の野菜が挙げられます。
仏教で食べることを禁じているものと言えば肉食がよく知られていますが、にんにくも含まれているのです。
精進料理には肉は使われないのは、動物の命を奪わずに食事をするという考えのもとに教えられますが、にんにくはなぜ食べてはいけないのでしょうか?
その理由は、五薫の植物には硫化アリルなどの硫黄化合物が含まれており、感受性を鈍らせてしまうため禁じられているからです。
仏教では感受性を磨かなければならないので、にんにくの活性化させる成分は修行の邪魔になってしまうというわけです。
つまり、にんにくには感応力を鈍らせて波動を遮断するので、魔除けになると考えられます。
他の理由として、にんにくは煩悩を増やす食材だと考えられているからです。
にんにくの語源は仏教用語の「忍辱(にんにく)」という言葉で、迫害や困難に耐え忍びじっと動かない意味があります。
困難に耐え忍ぶためには己の心を鎮めなければならず、自分の中にある煩悩を増やしては行けないと考えられています。
仏教では、魔除けの対象である魔は外にあるのではなく自分の心の内にあると考えるのです。
そのため、煩悩を増やす食材であるにんにくを食べることは禁じられているのです。
ドラキュラがにんにくを嫌う理由
吸血鬼ドラキュラがにんにくを嫌う理由ははっきりと明確には分かっていません。
考えられるのはドラキュラは狂犬病だったのではないかという説です。動物に咬まれたり傷口を舐められて狂犬病ウィルスが伝染すると脳神経が侵されて、狂暴化するのです。
狂犬病の症状は脳神経がウィルスに侵されて知覚過敏が起こり、にんにくを拒否するようになったと考えられています。
古代人は病気は悪魔の仕業と考えていたので、病原菌を除去してくれるにんにくは魔除けの効果があるといった考えになったのではないかと考えられています。
世界に伝わるにんにくの魔除け
にんにくの魔除けは世界中で伝わる風習であり、それぞれの国に伝わる言い伝えもあります。
世界中で昔からにんにくは魔除けやお守りとして使われてきました。
例えば、ヨーロッパではにんにくの強烈な臭いは、悪い邪気を取り払ってくれると言い伝えられています。
そのため部屋のドアににんにくを吊るしておくと吸血鬼ドラキュラが近寄らないという護身術があるのです。
西洋ではにんにくは食べ物や薬草として使われるだけでなく、悪魔や吸血鬼が嫌うものとしてドアにかけておくのが風習になっています。
死者が蘇らないためににんにくを口に含ませて墓に埋葬したり、妖精の悪戯から身を守るための邪気祓いとしてもにんにくが使われてきました。
14世紀頃に伝染病のペストの流行感染したときは世界人口が4億から3億に減ったのです。にんにくには抗菌作用があり多くの病人がにんにくで病気の改善や予防ができたのです。そこで、にんにくを魔除けや邪気祓いに使われるようになったというわけです。
現在でもヨーロッパではにんにくを「悪魔の花束」と言って、家の玄関や部屋のドアに吊るして魔除けをしている風習が残っています。
そして、日本の最古の「古事記」には、にんにくを投げて悪の神を追い払ったと言う記述もあり、邪気祓いに使っていた記録が残っています。日本武尊(やまとたけるのみこと)が東国を平定した帰りに、悪神が化けた白鹿に襲われた時ににんにくを投げて、山を無事に越えたそうです。
日本の家庭でも昔からにんにくを軒先や玄関先に吊るして、魔除けとして使う風習があります。にんにくの強烈な臭いが邪気を追い払ってくれると考えられており、今でも魔除けのアイテムとして使用されているのです。
例えば、青森県弘前市にある鬼神社では神前ににんにくを供えて神を慰め、悪魔や病魔を祓う習慣があります。
家の戸口にもにんにくを吊るすと災いや魔物から見を守るという風習が残っているのです。
日本の他の地域でも、にんにくを家の玄関先に吊るすと金運がアップするというおまじないも伝えられています。
にんにくを通気の良いところに吊るしておくと、にんにくの中の水分が蒸発して保存期間が長くなるメリットもあるので一石二鳥ですね。夏バテ予防に土用の日ににんにくと小豆を水で飲む慣わしも残っているそうです。
にんにくの強烈な臭いと殺菌作用は世界中で認められていて、魔除けや厄払いにも使われるとは凄い食材だと思いませんか?そんな魔除けになるにんにくですが、料理に使えば独特の香りと風味が食欲をそそり、多くの国で使われる食材でもあります。
世界でにんにくを使わない国はないほど、様々な国の料理に使われている食材でもあるのです。
まとめ
にんにくの強烈な臭いは、古代エジプトから魔除けの効果があると伝承されています。
今でこそにんにくの疲労回復、殺菌力、生活習慣病防止に効果があると知られていますが昔から薬用植物としても利用されていました。
古代人は病気は悪魔の仕業だと考えるため、病気を治してくれるにんにくは病気や邪気を追い払う魔除けの効果があると考えるようになったのです。
これが世界中でにんにくが魔除けとして使われている有力な説です。
そうは言っても、にんにくの風味豊かな香りと味は世界中に愛されており、多くの国の料理の使われている食材です。
にんにくは様々な効果や効能があるからこそ古代から魔除けとして使われるようになったのですね。